有機栽培で気を付けること
家庭菜園では、農薬や化学肥料を出来る限り使いたくないと思っている方も多いのではないでしょうか。
またこれから農業をしてみたいと考えている人の中には、出来れば有機栽培をしたいと考えている方もいらっしゃると思います。
ここでは、農薬や化学肥料を使わない栽培方法で気を付けることを書いていきます。
①場所選び
出来る限り日当たりや風通しが良く、水はけのいい所を選ぶ。
→病害虫のリスクが低減できる。
②作物選び
病害虫に強い作りやすい野菜を作る。
→カボチャやサツマイモ、モロヘイヤ等、もともと作りやすい野菜がある。慣れないうちは特に大切。
家庭菜園でトマトを作りたい場合は、作りづらい大玉よりミニトマトや中玉トマトを作るなどの工夫が大切。
連作をなるべく避け、輪作体系を心掛ける。
→連作障害のリスク低減。輪作は教科書通りに出来なくても、色々な科の野菜を回したり、イネ科やマメ科を間に挟むだけでも効果があります。
③作型選び
出来るだけその野菜の作りやすい時期(旬)に作付けする。
→通常より早く収穫したい(促成栽培)
→高く売るため収穫期を遅くしたい(抑制栽培)
どちらも販売する際は有利になるが、その分作りづらくなる。
④品種選び
固定種や在来種など病害虫に強い品種を購入したり、自家採種をしてその土地に合わせていく。
→最近のF1品種に比べ、食味が落ちる場合があるので注意。
味と強さのバランスが大切。
⑤苗選び
病害虫に犯されていない丈夫で健康な苗を作る、もしくは購入する。
→家庭菜園では接ぎ木苗も場合によっては有効。
⑥土作り
動物性堆肥に頼り過ぎず、植物性堆肥も利用する。
→緑肥の導入も視野に入れる。
⑦栽植密度
→密植より疎植
コンパニオンプランツや混植、混作をする。
→病害虫が低減できる。
⑧管理作業
→通常行われる摘心や摘葉などの整枝作業をやりすぎず、半放任にする。
特に夏場の暑い時間帯や雨の日などは避ける。
雑草も取り過ぎない。
⑨収穫
→負担をかけないためにも収穫が遅れないように注意する。
有機栽培で大切なことは、いかに病害虫が出にくい環境を作れるか、いかに野菜たちの生育の妨げにならないかを考え実践することだと思います。
有機栽培は大変だけど楽しいです。
皆さんも是非始めてみてください!
コンパニオンプランツ・混植について
コンパニオンプランツとは共栄作物の意味で、2種類以上を一緒に植えることでお互いに良い影響を及ぼし合う植物やその組み合わせのことです。
また、違う種類の作物を近くに植えることを混植、作ることを混作と言います。
具体的な効果として病害虫の減少、養分補給や生長促進などがあげられます。
・ネギとスイカ、ネギとキュウリなど。生育促進・病原菌の増殖を防ぐ。
・マリーゴールドは線虫に効果がある。
・虫除け。風味が良くなる。
・アオムシなどの食害を減らす。
・日陰を好むショウガの生育補助。
・ソラマメに付くアブラムシの天敵を増やす。
・カボチャの畝間に麦を播く。播く時期をずらす事で、カボチャのツルが伸び出した頃に麦は麦マルチとして抑草効果がある。
その他数え切れないくらいの組み合わせがあります。
コンパニオンプランツは通常、農薬や化学肥料を使わない人が取り入れることが多く、極力控えたいと思っていらっしゃる家庭菜園家の皆さんにはオススメです。
ただ科学的にメカニズムが解明しているものもあれば、経験則レベルのもありますから過度の期待は禁物です。
逆に相性の悪い組み合わせもあり私も一部試した事はありますが、そこまで生育に影響はありませんでした。
少量あればいい野菜をちょっとした空きスペースに混植することで、通常より数を多く植えられる場合もあります。
家庭菜園の場合は特に狭いスペースの中で同じ品目を作りがちですが、生物相が豊かになるので出来れば色々な種類の野菜を植えた方が良いでしょう。
なので超少量多品目栽培をオススメします。
もみ殻くん炭について
今回はもみ殻くん炭についてです。
もみ殻くん炭は、もみ殻を低温でじっくり焼いて炭にしたものです。ミネラル分が豊富で、微生物相が安定し、土壌改良剤として使えます。
・育苗土に混ぜる。
・畑に混ぜる。
・マルチとして利用する
(地温を上げたり、草を抑えたりする効果がある。)
・ボカシ肥や堆肥に入れても良い。
①籾殻くん炭機の内部に火種を入れ着火し、外側の周りを囲むように籾殻を置く。
②上の方が焼けて黒くなり、勢いよく煙が出るようになったらひとまず成功。
③下から上にかき上げるように熊手などで混ぜる。
始めはあまり動かさない方がいいが、最後の方はよく混ぜる。
④ほぼ全体が真っ黒に焼けたら薄く広げ、ジョウロで水を軽くかける。
完全に火が消えたかよく確認してから、袋などに保存する。
ちなみに、もみがらくん炭器はホームセンターなどで入手可能です。
こちらは開けた場所でしかできないかもしれませんね。
あとは火事にならないよう、くれぐれもご注意ください。
苗づくりは3月からがオススメ!!
家庭菜園を始めて慣れてくると、野菜の苗を買って来て植えるのではなく、自分で種を播き苗から育ててみたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方にオススメなのが、3月に種を播く方法です。
通常、4月下旬からゴールデンウィークにかけて苗を植えたい場合は、逆算してナスやピーマンは2月上旬、トマトは3月上旬、カボチャは4月上旬くらいに播かないといけません。
しかし、2月はまだ外気温が低く、家庭菜園上級者の人でないとなかなか難しいです。
そこでオススメなのが、3月のナス・ピーマン・トマトの同時播きです。
3月もまだまだ寒い日はありますが、日中はかなり暖かくなって来ます。
なので電熱線にしろ踏み込みにしろ、温床にて発芽さえ上手くいけば何とか乗り切れるのではないでしょうか。
その後の温度管理や水やりを考えると2月からだと長丁場ですが、3月からなら期間も短縮でき気持ちも少し楽になります。
ナスとピーマンは植えるのが5月中旬以降にずれ込みますが、収穫開始は通常の半月遅れ程度で済みます。
育苗は、畑で種を播くのとは違って勝手に育ってくれるものではないので難しいです。
しかし一方で、種から育てるというのはひとつの醍醐味でもあります。
家庭菜園中級者以上の方は、ぜひチャレンジしてみて下さい。
農業法人 エピソード編
勤めていた農業法人では色々な事がありました。今回はその一部をご紹介します。
1.運転免許を取ってから初めての運転が、農業法人での軽トラだった。
マニュアル車のため要領が掴めず、田んぼ脇の用水路に落ちた。
なぜかケガもなく怒られもしなかった。
2.ある日突然、社長からトラクターの運転を言い渡された。
近所のおばあちゃんがトラクターに乗っているのを見て、「あんなおばあちゃんでも乗れるんやから大丈夫だろ。」
いやいや、操作もろくに教わらずに無理だろうと思った。
3.夏の暑い中ハウスで作業をしていたら、社長の友人がやって来て一緒にビールを飲み始めた。
その後「どうせ汗ですぐ抜けるわ」と言って作業を続けた。
もちろん、その後運転はしていないので違法ではないが、軽いカルチャーショックを受けた。
4.仕事は月曜から土曜までで休みは日曜日のみ。
田植えや稲刈りなど忙しい時は、約一ヶ月休みなし。
でも農業関係は管理作業など特殊なので、労働基準法には抵触しないらしい。
色々あったけれど、その時は若かったし死に物狂いでやっていたような気がします。
今となってはいい思い出です。
おすすめの本10選 ~家庭菜園から有機農業まで【後編】~
前回の前編に続き、今回も特におすすめの本を5冊ご紹介します。
6.はじめての自然農で野菜づくり
こちらは自然農で有名な川口由一さんの監修です。
自然農は耕さず肥料・農薬を用いず、草々・虫たちを敵にしない自然の営みに添った農です。
川口さんは赤目自然農塾創設者で、他にも「自然農・栽培の手引き」というイラストの本がありますが、こちらの方が写真もあるため分かりやすいと思います。
7.解説 日本の有機農法ー土作りから病害虫回避、有畜複合農業まで
著者の涌井先生は鯉淵学園農業栄養専門学校の教員として30余年の勤務を経て、農業を目指す人を育てる場所を作りたいと「あした有機農園」を設立されました。
私も先生から直接、ご教授いただいたことがあります。
この本はタイトル通り、土作りから有畜複合農業まで有機全般を教科書的に分かりやすく解説してあります。
こちらの本は、小祝政明さんの本です。
有機栽培について知恵とか勘ではなく、化学的・理論的に書かれています。
一見難しい内容も、とても分かりやすく解説してあるため、なるほどと読めば納得の内容です。
9.有機栽培の野菜つくり
こちらも同じく小祝先生の著書ですが、前出の本よりも具体的に栽培方法が書かれています。
10. 決定版 コンパニオンプランツの野菜づくり
この本は、なるべく農薬を使わずに家庭菜園をやりたい方、コンパニオンプランツや混植に興味がある方にオススメです。
栽培方法が細かくイラストで書いてあり、とても分かりやすいです。
おすすめの本10選 ~家庭菜園から有機農業まで【前編】~
今回は私が今まで読んできた中で、特におすすめの本を5冊ご紹介します。
1.「絵とき 金子さんちの有機家庭菜園 新版」
まず始めは金子美登さんの本です。
埼玉県小川町の霜里農場代表で、私も農場を見学させて頂いた事があります。
昔から一般的な栽培方法の本はいくらでもあったのですが、有機栽培に書かれた本は皆無でした。
ですから、有機農家さんの技術が書かれたこの本はとても画期的でした。
私がまだ有機栽培について右も左も分からない時に本当に役に立ち、心強かった思い出があります。
一度絶版になり残念に思っていたのですが、新版が発売され、また多くの方に読んでいただけるようになりました。
2.写真でわかる金子さんちの有機家庭菜園
こちらの本は同じく金子さんの本ですが、前出の本がイラストであるのに対し、こちらは写真が豊富です。
そのため初心者の方にはオススメです。 今では貴重な本となりました。
3.有機・無農薬でできる野菜づくり大事典
こちらも金子さんですが、最新の大型本です。
持ち運びには向いていませんが、写真が多く180種類以上の野菜の育て方が書いてあります。
またボカシ肥の作り方から農薬を使わない病害虫対策まで幅広く書かれているので、自宅に一冊あるととても便利です。
4.岩崎さんちの種子採り家庭菜園
自家採種をしてみたい方にはこちらの本がオススメです。
長崎で50種を超える種の自家採種を行いながら農を営む岩崎政利さんの本です。
こちらは絶版となり、大変貴重な本です。
5.自家採種ハンドブックー「たねとりくらぶ」を始めよう
こちらは現在、日本で栽培出来る野菜やハーブ126種を解説した本で、採種方法だけではなくエピソードまで掲載された本です。
まさに自家採種のバイブル的存在です。
いかがでしたでしょうか?
今では手に入りにくくなってしまった本もありますが、気になった本があったら是非読んでみてください。
後編はまた後日、書きたいと思います。